出典:117手目の局面
なんと藤井四段が指したのは、▲9七桂でした!▲8五桂と相手の攻めの主役である香車をとってしまうのが第1の狙い。そして、▲8五桂によって相手の飛車が横に逃げれなくなったことに目をつけて、▲6四香と打って飛車を詰ますのが第2の狙いです。実戦でもその2つの狙いが決まり、藤井四段が大幅にリードを広げました。
▲9七桂は指されてみればなるほどという攻防手ですが、自玉からも敵玉からも遠い位置に貴重な持ち駒を投じる手なのでなかなか見えません。藤井四段が、トリッキーな桂馬の動きを活かしきる優れた空間把握能力を持っていればこそ指せた一手だと思います。
観戦者に衝撃を与えた、藤井聡太の妙手・名手 10選(中学生編)
2018年3月に中学校を卒業した藤井聡太六段ですが、プロデビューしてからわずか1年半の間にいくつもの妙手(名手)を見せてくれました。この記事では、その中から『中田戦の5五歩』や『広瀬戦の4四桂』など、特に衝撃的だったものを10手選び抜き、1手1手、なぜ衝撃的だったのかを解説していきます。