警視庁と栃木県警の合同捜査本部は、栃木県那須町の河川敷で夫婦の遺体が発見された事件について、韓国籍の姜光紀(カングァンギ)容疑者(20歳)と、元俳優の若山耀人(きらと)容疑者(20歳)の両容疑者を殺人容疑で再逮捕したことが21日、捜査関係者の取材で明らかになった。姜容疑者と若山容疑者は、仲介役から夫婦の殺害を依頼され、実行したとされています。
若山容疑者は、2014年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で主人公の幼少期を演じていた。
事件では死体損壊容疑で6人が逮捕されており、殺人容疑での再逮捕は、仲介役とされる建設業の平山綾拳(25歳)、指示役とされる住所不定、職業不詳の佐々木光(28)両容疑者を含め4人となった。
捜査本部は、夫婦の長女の内縁の夫で主導役とされる会社役員の関根誠端(32歳)、その知人で不動産会社役員の前田亮(36歳)両容疑者についても、殺人容疑で再逮捕する方針。
姜、若山両容疑者の再逮捕容疑は、4月15日午後11時50分から翌16日午前1時半ごろまでの間、東京都品川区東五反田の空き家のガレージ内で、仲間と共謀して、会社役員の宝島龍太郎さん(55歳)と妻幸子さん(56歳)=東京都千代田区=の首を絞めるなどして殺害したとしている。【岩崎歩、菅健吾、朝比奈由佳】
遺体で発見されたのは、東京都千代田区に住む会社役員の宝島龍太郎さん(55歳)と妻の幸子さん(56歳)でした。夫婦は、東京・上野のアメ横近くの繁華街で、焼肉店や居酒屋を含めて20店舗近くの飲食店を経営する「やり手経営者」として知られていました。
一方、仕事に関わる人々からは、夫婦について「いつも笑顔で、仲が良さそうだった」という印象があります。また、夫婦は従業員に熱心に指導し、仕事帰りには「お疲れさま」と声を掛けるなど、周囲に好かれる人柄であったようです。
宝島さん夫婦は、経営する店舗で宝島さんは「社長」、幸子さんは「ママ」と呼ばれ、従業員からも可愛がられていました。ある店舗で働いていた男性は、「社長は毎日必ず見回りに来て、掃除も率先してやっていた。突然のご逝去に驚いている」と語りました。系列店で働く女性も、「私のように日本語が得意でない外国人も多く働いていたけれど、丁寧に教えてくれた。本当に悲しい」と涙ぐんでいました。
宝島さん夫婦は、東京・上野のアメ横周辺で事業を拡大し、新型コロナウイルスの影響で苦境にあえぎながらも、最近1〜2年間で10店舗以上を新規で開業したと言われています。地元の人々からは、経営する店が並ぶ通りを「宝島ロード」と呼ぶ人もいるほど、その存在感は地域に定着していました。
一方、近隣の飲食店とはトラブルがあったという。地元の男性店主は「数年前から、宝島さんの店と他の店の従業員が、大きな声で怒鳴り合うのを見かけるようになった」と明かす。
夫婦を知る40代男性は「事業を急速に拡大していたが、一つの店を構えるには初期投資だけで数千万円はかかる。どうやって費用を捻出していたのだろうか」と話した。【菅健吾、朝比奈由佳】