世界遺産「熊野古道」は、紀伊半島の山々を縫うように続く道で、古来より人々が信仰の対象としてきた熊野三山と、伊勢神宮を結ぶ道です。2004年にユネスコの世界遺産に登録され、その歴史と文化、そして雄大な自然は、多くの人々を魅了しています。
今回ご紹介するのは、その熊野古道の中でも、伊勢神宮から熊野三山へと続く「熊野古道 伊勢路」です。伊勢路は、険しい峠道や美しい棚田など、変化に富んだ風景が広がり、まさに自然と信仰の道と言えるでしょう。
伊勢路のハイライトと言えるのが、馬越峠です。尾鷲ヒノキの森の中を石畳が続き、澄んだ空気を吸い込みながら歩けば、心が洗われるような感覚に。また、頂上からは雄大な熊野灘を一望でき、絶景ポイントとしても有名です。
さらに、世界遺産、天然記念物、そして名勝に指定されている「獅子岩」も必見です。高さ約25メートル、周囲約210メートルの奇岩は、まるで海に向かって吠える獅子の姿。その迫力ある姿は、訪れる人を圧倒します。
熊野古道 伊勢路は、山だけでなく川も重要な役割を担ってきました。世界遺産に登録されている熊野川を、伝統的な川舟「三反帆」に乗って遊覧する体験は、風を感じながらゆったりと景色を眺め、忘れかけていた時の流れを感じることができます。
伊勢路周辺には、他にも見どころがたくさんあります。
透明度抜群の銚子川は、「銚子川ブルー」と呼ばれる美しい青色の清流。
地元民しか知らないと言われる秘境「オハイ」は、エメラルドグリーンの海が美しく、まさに絶景!
そして、1,340枚もの田んぼが広がる「丸山千枚田」は、日本最大級の棚田として、その景観は圧巻です。
さらに、松崎港発着の楯ヶ崎観光遊覧船に乗れば、熊野の「青の洞窟」と呼ばれる「ガマの口」や、柱状節理の断崖絶壁である楯ヶ崎を満喫できます。
熊野古道 伊勢路周辺は、自然だけでなく、伝統文化や美食も魅力的です。
東紀州地域の祝い料理「さんま寿司」は、熊野灘で獲れた新鮮なサンマを使った郷土料理。
紀州・熊野地方に伝わる「めはり寿司」は、ご飯をニ杯酢で味付けし、高菜の葉で包んだシンプルな郷土料理です。
新鮮な魚介を味わえる「海女小屋」では、現役の海女さんから話を聞くこともできます。
そして、志摩半島の的矢湾で育った「的矢かき」は、生で食べられるほど新鮮で、甘みが強いのが特徴です。
熊野古道 伊勢路周辺には、職人技が光る伝統工芸品も数多く存在します。
三重県指定伝統工芸品の一つである「尾鷲わっぱ」は、尾鷲地方のヒノキで作られたお弁当箱です。
尾鷲わっぱは、丈夫で長く使えることから、親から子へ、子から孫へと受け継がれてきました。
尾鷲わっぱの作り手である世古さんは、代々受け継がれてきた伝統技法を守り続けています。
世古さんの作る尾鷲わっぱは、すべて手作業で作られており、国産100%の漆を使用しています。
尾鷲わっぱは、お弁当箱だけでなく、コーヒーカップや花器など、現代の生活にも馴染む新しい漆器も製作しています。
熊野古道 伊勢路周辺には、魅力的なイベントも開催されています。
毎年8月に開催される「熊野大花火大会」は、約1万発の花火が夜空を彩る、圧巻のイベントです。
東京でも三重県を体験できるイベントとして、「みえの酒とあて」が開催されます。三重県産の日本酒と、それに合う料理を楽しむことができます。
熊野古道 伊勢路は、豊かな自然と伝統文化に触れ、心に残る旅ができる場所です。
ぜひ、この夏は熊野古道 伊勢路を訪れて、あなただけの特別な旅を体験してみてください。
世界遺産「熊野古道 伊勢路」の旅は、雄大な自然と歴史、そして伝統文化を肌で感じることができる、まさに五感で楽しむ旅でした。
特に印象的だったのは、馬越峠の石畳です。
ヒノキの香りが漂う森の中を、ゆっくりと歩む時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれました。
頂上から見た熊野灘の景色は、言葉では言い表せないほどの美しさでした。
また、獅子岩の迫力ある姿は、自然のパワーを感じさせ、古代の人々がこの地を聖地として崇めた理由がよくわかりました。
熊野川を三反帆で下る体験も、風と水の流れを感じることができ、とても気持ちよかったです。
そして、地元の伝統料理の数々も、旅の楽しみの一つでした。
新鮮な魚介を使った料理は、どれも美味しく、特に海女小屋で食べた伊勢エビは、格別でした。
尾鷲わっぱは、職人の手仕事で作られた温かみが感じられるお弁当箱で、長く愛用したいと思わせる逸品でした。
熊野古道 伊勢路は、自然、歴史、文化、美食と、多くの魅力が詰まった場所です。
ぜひ、あなたも熊野古道 伊勢路を訪れて、その魅力を体感してみてください。