『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカス監督が、第77回カンヌ国際映画祭で最高栄誉のパルムドールを受賞しました。ルーカス監督は映画業界への多大な貢献が認められ、この栄誉に輝きましたが、同時に『スター・ウォーズ』シリーズにおける多様性の欠如に対する批判にも応じました。米Varietyが報じています。

ルーカス監督は、「“みんな白人じゃないか”と言われるのですが、大体がエイリアンですからね！」と語り、『スター・ウォーズ』の銀河では全ての存在が平等であるという考えを強調しました。また、「大きい者だろうと、毛に覆われた者だろうと、緑色だろうとなんだろうと、全ての人々は平等であり、ありのままを受け入れる、そういう考え方です」と述べ、多様性の重要性を訴えました。

さらに、ルーカス監督は「人は常に何かを差別していて、早かれ遅かれそうなるのだ、ということを言いたかったんです。AIでもそういうことが既に始まっていますよね。“あのロボットは信用できない”って。」と語り、映画が持つメッセージ性についても触れました。

オリジナル三部作では、ルーク・スカイウォーカーやハン・ソロ、レイア・オーガナといった主要キャラクターは白人俳優が演じていましたが、ルーカス監督は他にも重要なキャラクターがいることを指摘しました。「1作目（『新たなる希望』）では、肌の暗いチュニジア人が何人か出ていたし、2作目（『帝国の逆襲』）ではビリー・ウィリアムズ（ランド・カルリジアン役）を起用しました」と語り、プリクエル三部作でもサム・ジャクソンをトップのジェダイ役に起用したことを振り返りました。

SNS上では、このルーカス監督の発言に対する反応がさまざま見られます。「黒人でも初期三部作のランドみたい気品のあるタイプなら全然良いし作品の世界観にも合ってた」という意見や、「金持ちの黒人が自分で作ればいいじゃん」という声もありました。また、「黒人も複数いるしモンスターばっかだしヒロインはブスだし実にポリコレなんだが」という投稿も見られ、作品の多様性に対する評価は賛否両論です。

ディズニーによる買収後の続編映画について、ルーカス監督は「多くのアイデアが失われた」と失望を隠しませんが、多様性のアイデアは守られていると述べました。続三部作では黒人キャラクターであるフィンが主要人物として描かれていますが、フィンの出番が減っていったことについては批判もあります。演じたジョン・ボイエガも、「黒人キャラクターを、シリーズで必要以上に大々的に売り出しておいて、それなのに脇に追いやる。そんなことはしないで欲しい。良くない」と直接的に批判しました。

SNS上でも、「価値観や倫理観は変わって行くのだからこそ、これから作る作品は今の基準で判断すべきだが、過去の作品を今の基準で判断するのは全く愚かしい」という声があり、ルーカス監督の作品に対する評価は過去と現在の基準の違いを反映しています。

ジョージ・ルーカス監督のカンヌでの受賞と発言は、映画業界における多様性とその表現方法について、再び議論を呼び起こしています。