5月中旬、都内の居酒屋で提供されていた「レバテキ」の写真がSNS上で大きな注目を集めました。この居酒屋は豚レバーを「サッと炙って」提供しており、その様子を写した写真が拡散され、議論を呼びました。

SNSで拡散された写真には、レバーが生の状態であることが確認できました。豚の肉や内臓を生食用として提供することは、平成27年6月12日から食品衛生法に基づき禁止されています。この投稿は3000万回近く表示され、《危険すぎる》という指摘が相次ぎました。

危険を感じた投稿者は料理に手をつけず、後日、同店舗を所轄する中野区保健所に通報しました。保健所は立ち入り指導を実施し、《立ち入り指導してくださったとのことです》と報告しています。現在、この一連の投稿は店への配慮から削除されています。

中野区保健所生活衛生課の担当者によると、「個別具体的な事例についての監視指導の中身は回答できませんが、一般論として、加熱不足の豚肉や鶏肉、牛肉のレバーを提供している場合、施設の衛生状態を確認し、肉の加熱を中心部まで行う必要があると指導しています」と説明しました。

豚レバーを生で食べることのリスクについては、「豚肉や豚レバーを生で食べると、E型肝炎ウイルスに感染するリスクがあり、重篤な肝障害を引き起こす可能性があります。また、サルモネラ属菌やカンピロバクターといった細菌による食中毒のリスクもあります。さらに、豚肉には寄生虫が含まれることがあり、感染事例も報告されています」とのことです。

E型肝炎ウイルスは、潜伏期間が3週間から8週間あり、初期症状として発熱や吐き気、腹痛が見られ、進行すると黄疸や肝臓肥大を引き起こします。特に妊婦は注意が必要です。サルモネラ属菌は潜伏期間が6～72時間で、下痢や腹痛、嘔吐、発熱などを引き起こします。カンピロバクターも潜伏期間が1～7日と幅があり、腹痛、下痢、発熱が主な症状で、初期症状は風邪と区別がつきにくいが、激しい下痢が特徴です。

ネット上でも多くの反応が寄せられました。「3000万回？見てねーぞ」「生の豚レバーとか危険すぎて出す方も食う方もおかしい」「客は健康被害、店は営業停止、誰も得しないのにいつまで経っても無くならない」などのコメントが見られました。

豚レバーの生食は禁止されているにもかかわらず、今回の事例のように提供されてしまうことは、消費者の健康リスクを高めるだけでなく、店舗自体の信頼を失う結果にもつながります。消費者も、提供される料理の安全性について十分な注意が必要です。