【ユーリ!!! on ICE】フィギュアスケートをよく知らない人向けに各話の専門的な内容を簡単に解説
「なぜ勇利はグランプリシリーズに出場できたのか」「温泉onICEでなぜユリオは負けたのか」など、一般的なアニメファンは『ユーリ!!! on ICE』を見ていて疑問に思う部分が多いはず。筆者もそうでした。が、調査によって疑問を解決できたので、この記事では疑問点とその解説を話数別に紹介していきます!
もし、4T-3Tのまま、4回転3回の構成をとると、次のようになります。
4T-3T 4S 3Lo 3A 3F 3A-1Lo-3S 3Lz-3T 4T
ここで問題になるはザヤックルールです。ザヤックルールとは似たようなジャンプを何回も跳ぶのを禁止する複雑なルールなのですが、今回の問題に影響するのはその中の「2回跳べるジャンプは2種類まで」というルールです。
上に書いたプログラムでは、最後のジャンプまでに3Tを2回、3Aを2回跳ぶことになります。したがって、その時点で「同じジャンプを2回跳ぶ権利」を使い切っています。そのため、最後に2回目の4Tを跳ぶことは許されなくなるのです。
一方、冒頭を4T-2Tにする構成ならば、3Tが1回だけになるので、2回跳ぶジャンプは4Tと3Aの2種類となり、ルールを満たせます。
勇利がコンビネーションジャンプ3本目に3Sを入れられる理由
フィギュアのジャンプは6種類どれでも右足で着氷します。そのため、コンビネーションジャンプの2本目、3本目で跳べるジャンプは、右足に体重を乗せたまま跳べるトゥループとループの2種類に限られます。
しかし、勇利のフリープログラムでは、3連続コンビネーションジャンプは3A-1Lo-3Sとなっています。入れられないはずの3Sが入っていますね。その秘密は真ん中の1Loにあります。
では一連の流れを見ていきましょう。
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
10話の解説
指輪をつけたまま演技してもルール上問題はない
出典:Uploaded by FrenchToast
ただしアクセサリーを氷上に落とすと減点される
出典:Uploaded by FrenchToast
1点違えば順位が入れ替わる可能性も十分考えられます。実際、中国大会では1位のピチットくん(285.76点)と3位のクリス(283.81点)の差はわずか1.95点しかありませんでした。
グランプリファイナルで金メダルをとりたいなら絶対にアクセサリーの落下は防がないといけませんから、勇利が指輪という落下しづらいアクセサリーを選んだのは好判断だったと言えます。
フィギュア選手にとって重さは超重要
出典:Uploaded by FrenchToast
11話の解説
勇利は難しい入り方のトリプルアクセルをしてる
グランプリファイナルSPでは、勇利の3Aを見た解説者が「難しい入り方のジャンプなので加点される要素になります」と言っていました。では、3A直前の勇利の動作を確認してみましょう。
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
勇利の4Fの回転は足りていた
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
勇利の4Sが回転不足に見える
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
ユリオのタノジャンプは高難度かつ高得点
出典:Uploaded by FrenchToast
手を上げるだけで点が高くなるなら、なぜ今までやらなかったのか?みんなやればいいのに!などと思う人もいるはず。しかし、物理学的に手を回転軸から離せば離すほど回転しづらくなるので、誰でもできる簡単なジャンプというわけではありません。
ユリオの場合、以前からジャンプの高さや安定性を褒められていました。おそらく、体が未発達で細いため、回転しやすかったのでしょう。そういうアドバンテージを持っていたユリオだからこそ、手を上げる余裕があったのです。普通の選手がやれば、回転不足に陥っていたはずです。
《物理学的な解説》
跳びあがった時の空中では角運動量が保存される、という物理の法則があります。角運動量というのは回転の勢いと考えてください。頭から腰の方へ抜ける回転の軸があるんですけども、手足を離せば慣性モーメント(回転しにくさ)が大きくなります。慣性モーメントが大きくなると、回転は遅くなる。手足を近づけてくると慣性モーメントが小さくなるんで、回転は早くなります
引用元:www.ntv.co.jp(引用元へはこちらから)
ユリオの振付はタノジャンプの取り込み方がうまかった
出典:Uploaded by FrenchToast
現在のタノ批判の所以は、余りにも1つのプロの中で多用する選手がいて食傷気味になってしまう、ということから来ていると思います。
どうしても加点目当ての小手先の工夫にしかみえない、そんな練習をするのならもっと基礎的な事から練習したほうが・・・(特にジュニアの選手たちについては)と思えてしまうのでしょう。
引用元:svoro.blog38.fc2.com(引用元へはこちらから)
ユリオは全ジャンプがタノでしたから、「多用」という批判はユリオにも当てはまります。しかし、ユリオの場合はさきほどの画像を見て分かるように、衣装の袖についたヒラヒラした部分がタノジャンプの際に天使の羽のように美しく舞っていました。そのおかげで、タノジャンプが加点のための小手先の技術ではなく、振付の一部という感じに見えました。振付を考えたリリアとヤコフが良い仕事をしたと言えるでしょう。
コンビネーションが単独になったときのJJの心境
出典:Uploaded by FrenchToast
なぜかといえば、JJ本人も言っていたように、後半のジャンプにコンビネーションをつけてしまえばいいからです。元々のプログラムは「4T-3T、3A、4Lz」でしたから、例えば、「4T、3A、4Lz-3T」などとすればいいのです。そうすれば、ジャンプ1.1倍となる後半にコンビネーションを入れることになり、基礎点はむしろ上がります。
ただ、後半は体力が落ちるので、コンビネーションの成功率が下がるというリスクはあります。JJは体力に自信があるわけではなさそうなので、「ノープロブレム」と言いつつ、ちょっぴり焦っていたはずです。
JJの「挑戦するほうを選ぶ」発言の意味
出典:Uploaded by FrenchToast
そう、実は挑戦しない選択肢もあったのです。というか、コンビネーションジャンプは最初のジャンプが失敗すると、2本目のジャンプを入れられなくなって大ダメージを受けますから、挑戦すべきではなかったのです。
例えば、勇利やユリオのように4S-3Tにする選択肢がありました。4Lzが跳べるJJなら、4Sは楽に決められたはずです。また、ジャンプが不調であることを考慮して、もっと無難に3Lz-3Tにする選択肢もありました。
ではなぜJJは挑戦してしまったかといえば、勇利が言ってるように、立ち止まれないからです。つまり、「挑戦をあきらめれば確実に2番、3番にはなれる。でもそれじゃ絶対に1番にはなれない。だったら最下位になるリスクを覚悟の上で大技を出して1番を目指したい」という考え方です。
12話の解説
勇利が練習に復帰したってどういう意味?
出典:Uploaded by FrenchToast
オタベックのFS得点が低かった理由
SPでは2位だったオタベック。FSでも4回転を3本入れて全て決めていました。ジャンプの技術点については他の選手との差は小さかったはずです。しかし、FSの得点は伸びず、総合成績では4位になってしまいました。
得点が伸びなかった原因はおそらく体の硬さです。では、オタベックの演技をユリオと比較してみましょう。まずはスパイラルから。
出典:Uploaded by FrenchToast
出典:Uploaded by FrenchToast
勇利が言った「ヴィクトルのフリーと同じ難易度」の意味