【ユーリ!!! on ICE】フィギュアスケートをよく知らない人向けに各話の専門的な内容を簡単に解説
「なぜ勇利はグランプリシリーズに出場できたのか」「温泉onICEでなぜユリオは負けたのか」など、一般的なアニメファンは『ユーリ!!! on ICE』を見ていて疑問に思う部分が多いはず。筆者もそうでした。が、調査によって疑問を解決できたので、この記事では疑問点とその解説を話数別に紹介していきます!
出典:Uploaded by FrenchToast
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イナバウアーは体を逸らさなくてもOK
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GOE300万点!?
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ファイヴコンポーネンツって何?
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ファイヴコンポーネンツというのはPCS(演技構成点)のことです。「スケーティング技術」「つなぎのフットワークと動作」「演技と実行」「振り付け/構成」「音楽の解釈」の5項目なので、ファイヴコンポーネンツと呼ばれます。
したがって、ヴィクトルのセリフは、「ジャンプを失敗しまくってTES(技術点)は低かったはずだけど、PCSの高さで補うことができてよかったね」みたいな意味になります。
6話の解説
なんでクリストフはSPで5位だったの?
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フィギュアスケートではジャンプの種類と回転数によって基礎点が決まります。例えば、トゥループの場合は3回転なら4.1点で、4回転なら10.3点です。ルッツの場合は3回転なら6.0点で、4回転なら13.6点です。このように3回転と4回転では6点以上の差があります。
で、それぞれの選手が何回、4回転ジャンプを跳んだかというと、勇利は2回、ギオルギーとピチットは1回、レオとクリストフは0回でした。クリストフの表現力は素晴らしかったですが、それはほかの選手も同様だったため、4回転ジャンプの回数が強く順位に影響したという感じです。
なお、グァンホンくんが6位な理由は演技の大部分が省略されたため謎です。4回転を1回は跳んでいるし、アメリカ大会で3位なので実力もあるはず。もう少し順位が上でもおかしくないのですが、画面に映らなかったところで何かミスをしたのかも。
グランプリファイナルの出場条件
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グランプリファイナルに参加できる選手は、グランプリシリーズに参加した選手のうち成績上位6人だけです。グランプリシリーズは全6大会ありますが、1人の選手が出場できる大会は2大会までなので、2大会の合計得点で競うことになります。大会ごとに得られるポイントは、順位に応じて次のように決まります。
1位:15ポイント
2位:13ポイント
3位:11ポイント
4位:9ポイント
5位:7ポイント
6位:5ポイント
7位:4ポイント
8位:3ポイント
ピチットくんの場合はすでにアメリカ大会で4位なので9ポイントを獲得しています。もし中国大会で2位になれば、13ポイント獲得して、合計で22ポイントになります。この22ポイントという得点で、成績上位6人に入りこめるかどうかが問題になります。
では現実の2015年グランプリシリーズ男子の最終成績はどうなっていたかというと、6位の選手は22ポイント、7位の選手は20ポイントでした。確かに、2位をとればピチットくんはぎりぎりファイナルいけそうですね!
7話の解説
フリップとトゥループの違い
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転倒って致命的なミスじゃないの?
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そもそも、ジャンプの得点は、
ジャンプの基礎点 + GOE×係数 - 転倒による減点
という式で決まります。さっきの勇利の場合で実際に計算してみましょう。話を簡単にするため、後半のジャンプの基礎点が1.1倍になるルールは無視します。まず4回転フリップの基礎点は12.3。転倒という最悪の出来栄えですからGOEは-3です。で、4回転ジャンプの場合は基礎点が高いためにGOEに強めの係数がかかるようになっていて、-3が-4に増幅されます。さらに、GOEとは別に転倒による減点が-1です。つまり、計算結果は次のようになります。
12.3 + (-3)×(1.33…) - 1 = 7.3
この計算から分かるように、転倒してもジャンプの基礎点は消えません。トータルではちゃんとプラスになります。だから転倒は致命的なミスというわけではないのです。
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回転さえ足りていればOKなの?
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回転不足は次のようにジャンプ基礎点に影響を与えるのが特徴です。
0度~ 90度の回転不足:基礎点への影響はなし
90度~180度の回転不足:基礎点が70%に
180度以上の回転不足:回転数の少ないジャンプとして基礎点を計算
では勇利の4回転フリップが100度の回転不足になり、なおかつ転倒してしまった場合、得点がどうなっていたか考えてみましょう。さきほどの計算式の中で基礎点12.3が70%の8.6になるのが違いです。
8.6 + (-3)×(1.33…) - 1 = 3.6
ひどい得点ですね。3回転トゥループの基礎点4.3よりも低いです。もう何のために4回転に挑戦したのか分からなくなるレベルです。
ということで、アナの発言は、「転倒したから減点は免れない。しかし、回転は足りてるから4回転ジャンプの基礎点は守りきっている。これなら何とかなりそうだ。」みたいな意味になります。
4回転フリップを跳んだ意味
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しかし、結果的には4回転フリップは転倒に終わり、7.3点にしかなりませんでした。素直に4回転トゥループを跳んでいれば、10.3点以上をとれていたはずなので、得点だけを見るなら、勇利の判断は間違っていたと言えます。
とはいえ、ヴィクトルは物凄い驚き方をしていましたし、周囲の驚きも相当なものでした。常々、ヴィクトルは周囲を驚かせることが大事だと言っていますし、ヴィクトルの弟子としては正しい行動だったと言えそうです。
8話の解説
JJのトリプルアクセルは本当に高かった
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ヴィクトルは4回転を何種類跳べるの?
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では他の選手と比較してみましょう。YOI世界では4回転トゥループとサルコウを跳べるのは普通みたいなので、それらを除いて、跳べる4回転を列挙すると、
JJ :ルッツ
クリス :ルッツ
勇利 :フリップ(転倒)
スンギル:ループ
エミル :ループ
そう、トップレベルの選手でさえ、トゥループとサルコウ含め3種類の4回転を跳ぶのが限界なのです。5種類の4回転が跳べてしまうヴィクトルがどれだけ異常な存在か分かるはず。
なお、最後の1種類、4回転アクセルについては、現実のトップスケーターたちも実現は困難と感じているようです。
ユリオの回転不足が直っていた
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グランプリシリーズFSでの滑走順の決め方
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ただ、YOI世界のFS滑走順の決め方は実世界の2015年以前に用いられていた決め方であり、実世界の2016年以降の決め方とは違っているので注意してください。実世界ではSP成績の逆順ではなく、抽選方式に変わっています。
SPの滑走順はどう決まるかというと、2015年以前は世界ランキングの逆順、2016年以降は抽選方式となっています。YOI世界がどっち方式なのかは不明です。しかし仮に世界ランキング方式だとすれば、ロシア大会で4番目、中国大会では3番目に滑った勇利は、けっこう世界ランキングが高いことになります。
なお、ここまでの話はすべてグランプリシリーズ限定の話です。大会が変われば、滑走順の決め方も変わるのでご注意を。
9話の解説(5話の振り返りも有り)
ヤコフが怒った理由はコンビネーションジャンプを4回も入れたから
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本来の勇利のフリープログラムは次のようになっていました。
4T-2T 4S 3Lo 3A 3F 3A-1Lo-3S 3Lz-3T 4T
FSではコンビネーションジャンプは3回までというルールがあるのですが、きちんとそのルールを守れています。しかし、勇利が変更を加えたことで、プログラムは次のように変化してしまいました。
4T-1T 4S 3Lo 3A 3F 3A-1Lo-3S 3Lz-3T 4T-2T
見ての通り、コンビネーションジャンプが4回になってしまっています。そのため、最後の4T-2Tで勇利は大幅な減点を受けてしまいました。ヤコフが怒るのも当然と言えます。
ではなぜ勇利はそんな変更をしたのか?正確なところは分かりませんが、「2Tを入れ損なったから、どこかで入れないともったいない」と考えて、コンビネーションジャンプの回数制限をうっかりしたのではと思われます。あるいは最初の失敗を4T-1Tではなく、4Tと錯覚したのかもしれません。
中四国九州選手権大会で4T-3Tを4T-2Tに戻した理由はザヤックルール回避のため
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これについては、1番滑走だったために観客が試合観戦モードに入っていなかったことが主な原因と思われます。