【ユーリ!!! on ICE】フィギュアスケートをよく知らない人向けに各話の専門的な内容を簡単に解説

「なぜ勇利はグランプリシリーズに出場できたのか」「温泉onICEでなぜユリオは負けたのか」など、一般的なアニメファンは『ユーリ!!! on ICE』を見ていて疑問に思う部分が多いはず。筆者もそうでした。が、調査によって疑問を解決できたので、この記事では疑問点とその解説を話数別に紹介していきます!

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1話の解説

勇利の全日本選手権でのボロ負けは信じがたい現象

出典:Uploaded by FrenchToast
勇利はグランプリファイナルで最下位になった後、全日本選手権でもボロ負けしてしまいました。4話で順位は11位だったと判明。

まあ、グランプリファイナルについては世界の上位6選手のみが出場できる大会ですから、最下位になっても仕方ない面があります。しかし、問題は全日本選手権でのボロ負けです。
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そもそも、勇利は日本男子唯一の特別強化選手です。つまり日本男子の中ではトップの選手だったことになります。過去の全日本選手権では優勝が当たり前だったはずです。

また勇利はグランプリファイナルに出場したわけですが、グランプリファイナルはグランプリシリーズで好成績を出さないと出場できません。つまり、勇利はグランプリシリーズで好成績(1位~3位)を残せるような、世界レベルの実力を持っていたことになります。
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まとめると、勇利は世界と戦える国内最強選手だったのに、世界レベルに満たないはずの国内選手10人に一気に追い抜かれたことになります。はっきり言って最悪の結果ですし、勇利が実家に帰りたくなるのも無理のないことです。

グランプリファイナルは最高権威の大会ではない

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本作ではグランプリファイナルで最下位になった勇利が、次のグランプリファイナルで優勝を目指すという物語構成になっています。

そのため、グランプリファイナルがフィギュア界の最上位の大会だと思いそうになりますが、違います。

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出典:ja.wikipedia.org
この表は国際スケート連盟がフィギュアスケート選手の世界ランキングを算出するときに用いている表です。各大会で1位になったときに得られるポイントが記されています。
表を見れば分かるように、最も権威のある大会はオリンピックおよび世界選手権です。その次に欧州選手権と四大陸選手権があり、グランプリファイナルはその次になります。ですから、グランプリファイナルが物語のキーになっているのはちょっと不自然です。

おそらく、本作の放送局のテレビ朝日がグランプリシリーズのテレビ中継をしているため、テレビ朝日に配慮したのでしょう。世界選手権を大きく扱ってしまうと、世界選手権の中継をするフジテレビに肩入れすることになってしまいますからね。

勇利が世界選手権に出られなかったのは年齢のせい?枠のせい?

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勇利が説明していたように、全日本選手権でボロ負けしたことが世界選手権に出られなかった直接の原因と考えられます。

しかし、現在の日本スケート連盟の世界選手権出場者2名の選考基準は次のようになっています。
【1】1人目は全日本選手権優勝者を選考する。
【2】2人目は、以下のいずれかを満たす者から総合的に判断して決定する。
A:全日本選手権2位、3位の選手
B:グランプリ・ファイナル出場者
C:全日本選手権終了時点でのISUワールド・スタンディングの日本人上位3名
D:全日本選手権終了時点でのISUシーズンベストスコアの日本人上位3名
引用元:www.skatingjapan.or.jp(引用元へはこちらから)
そう、勇利は2-Bの条件「グランプリファイナル出場者」に該当していますから、2人目として選ばれる可能性があったのです。というか、勇利が唯一の特別強化選手であることも考慮すれば、全日本選手権2位、3位の選手よりも勇利が優先されるほうが自然です。

そうならなかった理由としては、スケート連盟が勇利の23歳という年齢をマイナス評価し、若い選手に経験を積ませることを優先させた可能性が考えられます。もしくは、本作の日本は現実の日本と違ってフィギュアが弱く、単純に世界選手権の日本の枠が1人分しかなかった可能性が考えられます。

2話の解説

早期のシニアデビューは天才の証

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出典:Uploaded by FrenchToast
ユリオのシニアデビューが15歳であるのに対して、勇利のシニアデビューは18歳。3年もの差があります。
《フィギュアの階級分け》
そもそも、フィギュアは年齢別にシニア、ジュニア、ノービスの3階級に分けられています。年度や国によって具体的な年齢制限は変わるのですが、おおよそ、ノービスは小学生まで、ジュニアは高校生までと考えればOKです。別に年齢制限が来るまでその階級にいなければいけないわけではなく、本人が希望すれば、ユリオのように早期にシニアに上がることも可能です。

《シニアデビューのデメリット》
シニアデビューすると、年齢の高いシニアの選手と戦わなければならなくなるので、大会で優勝しづらくなるのがデメリットです。また、演技時間が長くなったり、演技要素が増えたりするので、体力的にきつくなるのもデメリットです。

《シニアデビューのメリット》
一方、シニアデビューのメリットとしては、ジュニアの大会よりシニアの大会のほうが権威が高いので、優勝したときに得られる名誉や賞金が大きいことが挙げられます。ユリオの場合は一家を支えないといけないので、賞金が重要だったのかも。

《シニアに上がる判断》
ジュニアで技術を磨いて、シニアで戦える状態になったらシニアデビューするというのが普通です。したがって、早期にシニアデビューできてしまう選手は、それだけ才能があるということになります。ちなみにユリオと同様に15歳でシニアデビューした選手としては羽生結弦選手がいます。ユリオも羽生選手と同じぐらいの活躍をする可能性が高い?

3話の解説

『温泉 on ICE』は、勇利の勝利で終わりました。表現力が素晴らしかったことが勇利の勝因と思われます。元々、3話予告でヴィクトルが「どちらが俺を満足させられるかな?」と言っていたように、ヴィクトルを惹きつけられるかどうかが重要な試合だったわけですから、妥当な結末です。

とはいえ、「ジャンプをミスした勇利が、ミスしなかったユリオに勝つのは変だ」と思った人も多いはずです。しかし、結論から言えば、そういった技術的な部分でもユリオにはいくつか問題点があって、やはり勇利の勝利でおかしくありません。以下、項目ごとに説明していきます。

ユリオのスピンは位置と軸が変化してる

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勇利のスピンから見ていきましょう。

まず、スピンの最中に背景が変化していないのが分かるはずです。これはずっと同じ場所でスピンしていることを意味します。

また、きちんと1つの軸を中心にしてスピンできていることも分かるはずです。
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一方、ユリオの場合はスピンの軸がブレてしまっていて、一体どこを中心にして回転しているのかよく分からない状態になっています。

また、スピンしている最中に背景が変化しています。これはスピンしながら、位置が横にずれていっていることを表現しているのだと思われます。

追記:9話と11話でもスピン中に背景が動く現象は発生していました。スピン位置が移動しているわけではなく、カメラが回転しているだけなのかもしれません。

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ユリオのジャンプが回転不足

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ユリオの4回転サルコウは問題ありませんでした。画面後方に向かって滑りながら、後ろ向きにジャンプして、
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後ろ向きに着氷できていました。

問題はその後の、3回転トゥループ。
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画面左方向に滑りながら、後ろ向きにジャンプして、
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この着氷。きっちり3回転していれば、足は右を向いているはずなのですが、中途半端な向きになっています。これでは2.75回転しかできていません。

4話の解説

リリアのタラバガニ発言の意味

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リリアがユリオに「昨日食べたタラバガニのほうがフリーレッグ綺麗だったわよ」とダメ出しするシーンがありましたが…。
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フリーレッグとは、氷に接していない方の足を言います。逆に氷に接してる足はスケーティングレッグと言います。

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出典:amccrh.com
「タラバガニのほうがフリーレッグ綺麗だった」という表現は謎めいていますが、おそらく、ユリオのフリーレッグがタラバガニのように折れ曲がっていたということでしょう。バレリーナのように綺麗に足を伸ばして欲しかったのだと思われます。
フリーレッグを正しく使うことは、うまく見せる以上に姿勢のコントロールやバランスに重要な役割を持つ。フィギュアではフリーレッグは常に膝からつま先まで伸ばすのが基本。
引用元:www.geocities.jp(引用元へはこちらから)

タイの友達の曲を使うってことは、『愛について』はお蔵入りなの?

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そうではありません。フィギュアスケートの試合は、FS(フリースケーティング)とSP(ショートプログラム)の2部構成となっています。タイの音大の子に作ってもらった『YURI on ICE』はFSで使い、今までヴィクトルに教えてもらっていた『愛について』はSPで使うということです。
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フィギュアでは、使用する曲は1年を通して変わらないのが普通です。したがって、勇利はこれから始まる中四国九州選手権大会でも、最終目標であるグランプリファイナルでも、これらの2曲を使って滑ることになります。

勇利はなんでグランプリシリーズに普通に出場できてるの?

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勇利はグランプリシリーズの中国大会とロシア大会に出場することになりました。

全日本はシード権を失って予選からなのに、なんでグランプリシリーズはあっさり出場できてるのか疑問に思った人が多いはずです。
そもそも、フィギュアの大会には次のように2つの流れがあります

【1】過去の成績を総合評価 → グランプリシリーズ → グランプリファイナル
【2】全日本予選 → 全日本 → 世界選手権

勇利が失ったシード権というのは、「全日本予選に参加せず、全日本にいきなり参加できる」という権利です。要するに【2】の流れを短縮できる権利です。しかし、この権利の有無は【1】の流れには関係しないことに注意が必要です。

では、【1】のグランプリシリーズの参加選手がどのように決まるかというと、過去の世界選手権やグランプリシリーズなどでの成績を総合的に評価して決定されます。勇利の場合は、世界選手権に出なかったので不利だったはずですが、グランプリシリーズでファイナル進出できるほどの結果を出したことが評価され、出場が認められたのでしょう。

一方、全日本のシード権については、前年度の全日本での結果だけで決まってしまいます。グランプリシリーズでの結果は全く評価されません。だからこそ、全日本で惨敗してしまった勇利はシード権を失ってしまったというわけです。

バレエの話1:リリアが「プリマ」と言い直した理由

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リリア「今シーズンのプリンシパル、いいえ、プリマになりなさい」

プリンシパルは男女問わず、主役級のバレエダンサーを指します。一方、プリマは女性の主役級バレエダンサーを指します。

つまり、リリアの発言は「最高の男性バレエダンサーではなく、最高の女性バレエダンサーを目指しなさい」という意味になります。

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バレエの話2:リリアが虫歯チェックした理由

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ユリオの私生活が乱れていないかをチェックしたかったわけではありません。

実は、虫歯の有無が体のバランスに影響を及ぼす可能性があることが分かっています。バレエもフィギュアもバランスが大切ですから、ユリオの将来性を測るためにチェックしたのでしょう。
『医療法人富歯会 川上歯科』公式サイトの記事より

歯が痛むと、痛まないほうの歯で咀嚼しようとして、左右のバランスが崩れますね。

口のどこかに過度な負担がかかっていると、そのバランスを別の箇所で補おうするから、頭を支える首や背中など体全体に影響する可能性があるんだ。
引用元:kawakamishika-panjo.com(引用元へはこちらから)

勇利が新しい4回転ジャンプを習得しようとしている2つの理由

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勇利「ヴィクトルが跳べるジャンプ、全部教えてください!」
《理由1:SPの得点アップ》
勇利が跳べる4回転ジャンプは今のところ、トゥループとサルコウだけですが、トゥループは最も低い得点、サルコウは2番目に低い得点となっています。したがって、新しいジャンプを跳べるようになれば、トゥループやサルコウをそのジャンプに切り替えることで高得点が狙えるようになります。

《理由2:FSの得点アップ》
FSではSPよりも多くのジャンプを跳べますが、ルール上、同じジャンプの繰り返しには制限があります。そのため、4回転を2種類しか跳べない現在の勇利の場合、2回転や3回転のジャンプを多く入れざるを得ません。しかしそうなると、全ジャンプを成功させても大して得点が伸びなくなります。だからこそ、勇利は4回転の種類を増やして、より多くの4回転を演技に含めようとしています。
出典:Uploaded by FrenchToast
ただ、ヴィクトルが書いていたFSの演技構成を見る限り、今のところヴィクトルは新しい4回転に挑戦させる気はないようです。

5話の解説

会場の男女比が偏っていた理由

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中四国九州選手権大会のシニア男子の参加者は勇利含めてたったの4人でした。

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そのため、会場は女性だらけの状態に。ただ、これは別にハーレム状態を作るためのアニメ的演出というわけではありません。
出典:www.jsfresults.com
こちらが現実の2016年中四国九州選手権大会のシニア男子の参加者。アニメと同じでたったの4人だけです。ちなみにシニア女子の参加者は11人!
全日本選手権の、女子の競争率は激しいけれど、
男子の競争率は、スカスカなんです。

ブロック大会なんか、男子の参加選手が、いないブロックもありますからね。
引用元:ameblo.jp(引用元へはこちらから)

コーチによって送り出し方は様々

出典:Uploaded by FrenchToast
ヴィクトルが「演技前にコーチが送り出すときのやつ、どうしようか?」と勇利に尋ねるシーンがありました。
出典:Uploaded by FrenchToast
結局、ハグになりましたが、実は送り出し方はコーチによってけっこう違いがあります。
出典:www.youtube.com
おでこを叩く、背中を押す、肩をもむ、握手をする、などなど。

なぜヴィクトルがハグを選んだのかは語られませんでしたが、たぶん不安になってる勇利を安心させようとしたのではないでしょうか。
出典:suguouji.seesaa.net
選手にとって安心感は重要な要素なようで、例えば、羽生選手は「顔が安定していて、見ていて落ち着くから」という理由で、プーさんのティッシュカバーを愛用しています。

勇利に対する観客の反応が薄かった理由

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