三重県明和町の竹神社では、9月16日より、斎宮絵馬伝説にちなんだ新たな絵馬の頒布が始まりました。この取り組みは、地域の活性化を推進する明和観光商社が、竹神社とともに進めるプロジェクトの一環です。
竹神社は、かつて斎宮があった場所で、絵馬を使った占い「斎宮の世だめし」が行われていた歴史があります。絵馬堂は明治時代に廃れてしまいましたが、そこに奉納されていた絵馬は竹神社に寄贈され、現在では神宝として大切に保管されています。
明和観光商社は、神社の運営課題解決を目的に、2022年から観光を手段とした地域活性化に取り組んでいます。氏子の減少や地域コミュニティの希薄化といった課題に対し、御朱印の企画や情報発信、鎮守の森の活用などを通して、観光地域づくりならではの視点で地域活性化に貢献してきました。
今回頒布される絵馬は、この「斎宮絵馬」の物語を形にすることで、途絶えてしまった風習を地域に伝えていこうという思いから誕生しました。絵馬のデザインは、イラストレーターの小石川ユキさんが担当しました。小石川さんは、竹神社に参拝し、斎宮絵馬伝説や謡曲「絵馬」に感銘を受け、デザインを引き受けたそうです。
小石川さんのデザインは、白い馬には太陽や空、黒い馬には水滴や雨雲を象徴する要素を取り入れ、可愛らしさと風習の物語を表現しています。絵馬は、お札やお守りとは異なり、お焚き上げの必要がないため、安心して持ち帰ることができます。
明和観光商社は、今後も地域の歴史や文化を発掘し、授与品や催しを通して発信することで、氏子意識の向上を目指し、20年に一度行われる社殿の建て替えである遷座祭の実現に向けて活動を続けていきます。
竹神社は、明治時代に旧斎宮村にあった25社の神を合祀して誕生しました。平安時代の大規模な塀列や掘立柱建物の跡が周辺から発掘されていることから、斎王の御殿があった場所ではないかと考えられています。謡曲「絵馬」にちなんだ絵馬殿があったことも、竹神社の歴史に深みを与えています。
明和観光商社は、明和町の観光資源や地域資源を効果的に活用し、観光地域づくりやふるさと納税支援などに取り組む地域DMO&地域商社です。地域の活性化に貢献する彼らの取り組みは、これからも注目を集めるでしょう。
竹神社で頒布されるようになった新たな絵馬は、単なる宗教的なアイテムではなく、地域の文化や歴史を伝える重要な役割を担っています。斎宮絵馬伝説にまつわる物語を、現代に蘇らせる試みは、地域住民だけでなく、観光客にとっても魅力的なものとなるでしょう。
特に、絵馬のデザインを担当した小石川ユキさんのセンスが光ります。白い馬と黒い馬、それぞれに太陽や空、水滴や雨雲といった象徴的な要素をデザインに落とし込むことで、古来からの風習と現代的な感性を融合させた、美しい絵馬が誕生しました。絵馬を通して、かつて斎宮で行われていた絵馬占いの様子を想像し、歴史に思いを馳せることができるのも魅力的です。
また、この絵馬は、お焚き上げの必要がないという点も、現代のライフスタイルに合致した配慮が感じられます。気軽に持ち帰り、自宅に飾ったり、家族や友人と伝説について語り合ったりすることで、地域への関心を高めるきっかけになるでしょう。
明和観光商社が推進する地域活性化の取り組みは、神社の維持・発展と地域コミュニティの活性化という、二つの重要な課題を同時に解決しようとする、非常に挑戦的な試みです。神社を軸とした地域づくりは、単に観光客を呼び込むだけでなく、地域住民の意識を高め、地域への愛着を育む効果も期待できます。
今回の絵馬の頒布は、その取り組みの一つの成果と言えるでしょう。地域の歴史や文化を大切に守りながら、現代社会に合った形で発信していくことで、竹神社と明和町は、さらに魅力的な場所になっていくに違いありません。今後も、明和観光商社の活動に注目し、地域活性化の成功を願いたいと思います。