名古屋地裁は6月12日、2022年に自宅で長女、次女、三女を殺害した罪に問われていた遠矢姫華（とおや・ひめか）被告（29）に対し、懲役23年の判決を言い渡しました。裁判では、遠矢被告の責任能力について「心神喪失、心神耗弱のいずれにも当たらない」と判断されました。

午後3時すぎ、傍聴人で満員となった法廷に現れた遠矢被告は、グレーのTシャツにデニム姿でした。起訴状などによりますと、遠矢被告は2022年2月、自宅で長女の姫茉梨（ひまり）ちゃん（当時5歳）、次女の菜乃華（なのか）ちゃん（当時3歳）、三女の咲桜（さくら）ちゃん（当時生後9カ月）の首をコードのようなもので絞め、殺害した罪に問われていました。

裁判で明らかになったのは、育児に悩む遠矢被告の姿でした。「子どもがかわいいと思えなくなっていたことに関して悩んでいました」と証言し、2016年10月に長女を出産した後、「産後うつ」と診断され、4か月ほど治療を受けていたことも語られました。

元夫との関係や家庭の状況についても言及されました。義母が手伝いに来なければ家事や育児が回らない状態で、元夫は「仕事から帰ってもご飯ができていない」「仕事から帰ってきてから買い物に行くことがある」などと話していたといいます。事件直前には、「洗濯物を戻す場所がわからない」「料理を作るときに初めて作るような感覚」に陥っていたとされます。

法廷で遠矢被告は、普段は避けていたファストフード店でパンケーキを買って食べさせた後に犯行に及んだことを語り、「喜んでいる顔を見て『よかった』という気持ちでした」と証言しました。

SNS上では、この判決に対する多くの反応が寄せられています。「子供3人〆ても中学生なら実質懲役5年という記事をどっかで見た」といった軽すぎる刑罰に対する不満や、「結局女割が発動して23年で済んだんですね」といった意見が見受けられます。また、「普段は避けていたファストフード店でパンケーキを買って食べさせた後、喜んでいる顔を見て『よかった』ではなく『なんだ、これで良いんだ』と思えてたら今頃みんな幸せでいれたと思うと胸が苦しい」との意見もありました。

さらに、「産後うつはあったとの事で未然に防ぐ事は出来なかったのかと悔やまれる」「しかし、心神喪失無しで計画性もあるのに3人殺して23年済むというのは些か納得がいかない」と、判決に対する疑問や社会のサポート体制への指摘も多く見られました。

一方で、「まじめに子供３人をワンオペすると5割の母親が狂います」と、育児の過酷さを訴える声や、「なんだかやるせないよね」との悲しみの声もありました。また、類似の事件についても言及があり、「似てる外国の事件なかった？パンケーキ食べる描写もあったし我が子３人母親に殺されたやつ、なんだっけ？？昔テレビで見た」というコメントも寄せられました。

遠矢被告の判決に対する意見は多岐にわたりますが、育児の孤立や精神的負担の大きさ、そして社会的支援の不足が浮き彫りになった事件であることは間違いありません。今後、再発防止のための対策が求められるとともに、家庭内の問題に対する社会の理解と支援が必要とされています。