表を見れば分かるように、最も権威のある大会はオリンピックおよび世界選手権です。その次に欧州選手権と四大陸選手権があり、グランプリファイナルはその次になります。ですから、グランプリファイナルが物語のキーになっているのはちょっと不自然です。
おそらく、本作の放送局のテレビ朝日がグランプリシリーズのテレビ中継をしているため、テレビ朝日に配慮したのでしょう。世界選手権を大きく扱ってしまうと、世界選手権の中継をするフジテレビに肩入れすることになってしまいますからね。
そう、勇利は2-Bの条件「グランプリファイナル出場者」に該当していますから、2人目として選ばれる可能性があったのです。というか、勇利が唯一の特別強化選手であることも考慮すれば、全日本選手権2位、3位の選手よりも勇利が優先されるほうが自然です。
そうならなかった理由としては、スケート連盟が勇利の23歳という年齢をマイナス評価し、若い選手に経験を積ませることを優先させた可能性が考えられます。もしくは、本作の日本は現実の日本と違ってフィギュアが弱く、単純に世界選手権の日本の枠が1人分しかなかった可能性が考えられます。
《フィギュアの階級分け》
そもそも、フィギュアは年齢別にシニア、ジュニア、ノービスの3階級に分けられています。年度や国によって具体的な年齢制限は変わるのですが、おおよそ、ノービスは小学生まで、ジュニアは高校生までと考えればOKです。別に年齢制限が来るまでその階級にいなければいけないわけではなく、本人が希望すれば、ユリオのように早期にシニアに上がることも可能です。
《シニアデビューのデメリット》
シニアデビューすると、年齢の高いシニアの選手と戦わなければならなくなるので、大会で優勝しづらくなるのがデメリットです。また、演技時間が長くなったり、演技要素が増えたりするので、体力的にきつくなるのもデメリットです。
《シニアデビューのメリット》
一方、シニアデビューのメリットとしては、ジュニアの大会よりシニアの大会のほうが権威が高いので、優勝したときに得られる名誉や賞金が大きいことが挙げられます。ユリオの場合は一家を支えないといけないので、賞金が重要だったのかも。
《シニアに上がる判断》
ジュニアで技術を磨いて、シニアで戦える状態になったらシニアデビューするというのが普通です。したがって、早期にシニアデビューできてしまう選手は、それだけ才能があるということになります。ちなみにユリオと同様に15歳でシニアデビューした選手としては羽生結弦選手がいます。ユリオも羽生選手と同じぐらいの活躍をする可能性が高い?
『温泉 on ICE』は、勇利の勝利で終わりました。表現力が素晴らしかったことが勇利の勝因と思われます。元々、3話予告でヴィクトルが「どちらが俺を満足させられるかな?」と言っていたように、ヴィクトルを惹きつけられるかどうかが重要な試合だったわけですから、妥当な結末です。
とはいえ、「ジャンプをミスした勇利が、ミスしなかったユリオに勝つのは変だ」と思った人も多いはずです。しかし、結論から言えば、そういった技術的な部分でもユリオにはいくつか問題点があって、やはり勇利の勝利でおかしくありません。以下、項目ごとに説明していきます。
まあ、グランプリファイナルについては世界の上位6選手のみが出場できる大会ですから、最下位になっても仕方ない面があります。しかし、問題は全日本選手権でのボロ負けです。