日本医師会の会長選挙への再出馬を断念した中川会長。その原因は度重なるスキャンダルによる信頼失墜、そして中川会長自身の働きぶりに対する不信感があったようだ。
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日本医師会が2021年1月13日に会見を開き、中川会長が冒頭、全国の医療提供体制の現状について言及。「全国的に医療崩壊は既に進行している」としたうえで「このままでは医療崩壊から医療壊滅へ」とするフリップを掲げ、新型コロナウイルスの感染者数増加に歯止めがかからない中で、医療提供体制に対して強い危機感を示し、警鐘を鳴らした。
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中川会長は医療崩壊について「必要な時に、適切な医療を提供できない。適切な医療を受けられない」と説明すると、医療壊滅との違いについて「必要な時に、医療自体を提供できない。医療自体を受けられない」と解説したうえで「医療壊滅の状態になるわけではないのだから、医療崩壊ではないというのは誤解だ」とする厳しい認識を示した。
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また、「地域の医療提供体制は新型コロナ医療とそれ以外の通常の医療が両立してこそ機能しているといえる。両立できなければ、医療崩壊の状態になっていく。現実はとくに首都圏など、緊急事態宣言の対象地域において通常の入院患者の受け入れを断るなど、すでに医療崩壊の状態になってきている」と述べると「このまま感染者数の増加が続くと、医療崩壊から医療壊滅になってしまう恐れがある」と訴えた。
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急激な感染拡大にも怯むことなくコロナ治療の過酷な最前線で奮闘する医療従事者たち。記者会見の場で、
「すでに医療崩壊」
「必要な時に適切な医療を提供できない」
そう危機を煽る日本医師会(日医)の中川俊男会長は、現場の医療従事者たちの思いを代弁しているつもりなのだろうか。しかし、日医の会員の半数を占める開業医はこれまで積極的にコロナ患者を受け入れてきたわけではない。
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「日医というのは会員数こそ開業医と勤務医がほぼ同数ずつですが、執行部の大半は開業医ですし、勤務医の意見はなかなか尊重されないのです」
と、医療関係者。
「そして、日医が開業医の既得権益を守っている結果、今、コロナの負担が大病院に集中してしまっている。開業医の中にもコロナ対応を頑張っている病院はあるので一概には言えませんが、現状、軽症でもコロナや発熱患者を受け入れない開業医がほとんどです」
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オンライン診療を導入して開業医もコロナ対応に関わるべきではないか、との声に対しては、
「中川さんはオンライン診療について『かかりつけ医を軸にすべき』と言うなど積極的ではない。これも開業医の既得権益を守るためです。自身で『医療崩壊』と言いながら実態がこれですから、大病院は医師会をかなり冷ややかな目で見ています」(同)
中川会長を「医師の代表」ではなく「開業医の代表」と見ると、その言葉の“響き方”も変わってくる、というわけだ。
「中川会長は本来であれば、『医療崩壊の危機だから自粛しましょう』と言うのではなく、『医療崩壊の危機だから開業医もコロナやグレーの患者を受け入れましょう』と表明すべき局面だと思います」
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記者会見で“民間病院ではコロナ患者の受け入れが少ない”との指摘が出ていることについて聞かれ、
「コロナ患者をみる医療機関と通常の医療機関が役割分担をした結果だ。民間病院は面として地域医療を支えている」
と、苦しい言い訳を展開した中川会長自身も開業医である。
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医療機関に支払われる公定価格「診療報酬」の2年に1度の改定議論が進むなか、日本医師会と日本歯科医師会、日本薬剤師会の3団体は(2021年12月)7日、厚生労働省を訪れ、後藤茂之厚労相に来春からの診療報酬を引き上げる「プラス改定」を要望した。
日本医師会の中川俊男会長によると、後藤氏に新型コロナウイルス感染症への対応で医療機関が疲弊している状況を説明。臨時の補助金ではなく、診療報酬による恒常的な手当の必要性を求め、「手当がなければ、ポストコロナへの医療提供体制の道筋は見えない」と訴えた。これに対して後藤氏は、厚労相として「役割を果たす」などと応じたという。
中川氏は取材に対し、「絶対にプラス改定が必要だ」と強調した。「日本の医療を守る責任を感じた」とも話し、プラス改定への期待をにじませた。
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日医関係者によると、中川氏の診療報酬改定などへの対応に関して不満が広がっていたという。中川氏は「強力なリーダーシップを発揮しなければとやってきたが、強権的だったとの一部批判があった。そこは反省している」と語った。
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それで公的医療機関がパンク寸前になるわけだから、
もはや中川会長をはじめとした日本医師会による”人災”とも言える。