作家デビューから数々の文学賞を受賞し、その作品で常に話題を呼ぶ小田雅久仁氏。2023年7月12日に刊行された最新作『禍』が、今年6月に発表された『このホラーがすごい！ 2024年版』（宝島社）ホラー小説ベスト20の国内編で第1位を獲得しました。

『禍』は、人間の“からだ”をモチーフにした7つの怪奇譚からなる短編集です。口、耳、目、肉、鼻、髪、肌……、様々な人間の身体部位を題材に、小田氏は10年以上の歳月をかけて、想像を絶する恐怖と驚愕の世界を描きました。その圧倒的な描写力と巧みな文章力は、読者を作品の世界に深く引き込み、強烈な印象を与えます。

本作は発売前から、海外翻訳決定、先行コミカライズ連載開始、著名人からの推薦コメント到着など、大きな注目を集めていました。発売後も、SNS上では「ゾクゾクするのに読むのをやめられない」「中毒性が危うすぎる」「ただ驚愕の世界観」など、多くの反響が寄せられ、話題沸騰。全国書店で週間ベストセラー1位を獲得するなど、大きな反響を呼んでいます。

『禍』がなぜこれほどまでに読者を魅了するのか？ その魅力は、小田氏の“からだ”への深い洞察にあります。小田氏は、幼少の頃から「からだ」に対する違和感や恐怖を抱いてきた経験を語り、その経験が作品に反映されていることを明かしています。例えば、母親に髪を切ってもらった際に感じた気持ち悪さや、もしも「鼻」を削がれてしまったらという恐怖など、日常生活で誰もが抱く「からだ」に対する不安や恐怖を、小田氏は独自の視点で描き出しています。

「からだ」という誰もが共通して持つモチーフを用いることで、小田氏は読者の潜在的な恐怖や不安に直接訴えかけます。同時に、小説だからこそ表現できる、心の奥底に潜む恐怖や不安を言葉で描き出すことで、読者に深い衝撃を与えます。

『禍』は、単なるホラー小説を超えた、人間の存在そのものに対する深い考察を促す作品です。読者は、作品を通して、自身の「からだ」に対する感覚や、死や生に対する考え方を改めて問い直すことになるでしょう。

『禍』は、既に多くの読者から絶賛の声が寄せられており、今後も大きな話題になることは間違いありません。ぜひ、この機会に、あなたも小田雅久仁の恐怖の世界に足を踏み入れてみてください。

小田雅久仁氏の『禍』を読了し、私はその圧倒的な想像力と巧みな文章力に衝撃を受けました。各短編は、人間の“からだ”という身近な存在を題材にしながらも、そこに潜む恐怖や不安を鮮やかに描き出し、読者を作品の世界へと引き込みます。

特に印象に残ったのは、日常的な描写と突如現れる怪奇現象の対比です。一見、普通の日常風景が描かれているかと思いきや、そこに突如、人間の“からだ”に起こる異常な変化や、不可解な出来事が現れ、読者は恐怖と驚きを同時に味わうことができます。このギャップが、読者の心を強く揺さぶるのです。

また、小田氏は人間の“からだ”に対する深い洞察と、恐怖に対する独自の解釈を持っていると感じました。作品を通して、人間の“からだ”は、生と死、美と醜、正常と異常など、相反する概念を内包していることを改めて認識させられます。

『禍』は、単に読者を恐怖で楽しませるだけでなく、人間の存在や生命、そして死について深く考えさせられる作品です。読後感は、決して心地よいものではありませんが、深い余韻を残し、心に強烈な印象を与えてくれます。

私は、この作品が、ホラー小説の枠を超えた、現代社会における人間の存在や価値観について考えるための重要な作品であると考えています。