平安時代の夜はどのように照らされていたのか、みなさんは気になりませんか?当時、貴族の邸宅では「高灯台」という照明器具が一般的でした。これは、油を燃やした灯明皿を台架の上に置くことで屋内を照らすものだったんです。使用される油には、ごま油やエゴマ(荏胡麻)の油、椿や麻の実などがあったと考えられています。一言で言うと、平安時代の照明は「自然素材を用いたシンプルな工夫」だったんですね。
庶民の生活と照明
では、庶民はどうだったのでしょうか。実は、庶民の家では照明具の設置場所が限られていて、多くは無照明の状態で生活していたようです。屋内での照明には囲炉裏の火が煮炊きや暖房とともに使われていました。つまり、庶民の生活は、「自然の光を最大限に活用する」というスタイルが基本だったんですね。一方で、歩行や寝起きには、松の木を細く割った脂燭(しそく)が使われていました。これは手元を紙で巻いた油蝋燭です。
電気がなかった平安時代の夜間生活は、どのように過ごされていたのでしょうか。貴族は、灯火をともさずに過ごすことも多かったとされています。暗闇の中での生活は、現代とは大きく異なりますが、自然と調和しながら過ごすことに重点が置かれていたのかもしれません。当時の日記や物語からは、夜間に行われる宴会や会話の様子が垣間見られますが、それらは限られた光源の中で行われていたことでしょう。一言で言うと、平安時代の夜間生活は「暗闇の中での豊かな文化生活」を楽しんでいたと言えるかもしれません。