5月14日、資産コンサルティング会社「ザ・グランシールド」社長の中村佳敬容疑者を含む4人が、金融商品取引法違反容疑で逮捕された。グランシールド社は、信用保証会社「トラステール」の社債を無登録で募集し、約1300人から総額約80億円を集金したが、その社債は全く価値がない紙　だったという。逮捕された4人には、中村容疑者のほか、秋元宙美容疑者、佐武敬子容疑者、鍵井チエ容疑者らが含まれている。

中村容疑者は、日本生命系の保険外務員から外資系保険会社に転職すると、辣腕外務員として高収入を得ていた。しかし、外資系保険会社を辞めた後、彼には転落が始まった。保険業界に詳しい関係者によると、中村容疑者は、インセンティブ目当てに顧客の名前を無断使用する「カラ契約」に手を染めていたため、外資系保険会社を退職することになった。加えて、インセンティブの返済を求められたため、巨額の負債を抱えていたという。

2016年にグランシールド社を設立した中村容疑者は、違法集金で大金を手に入れ、色々な遊びや愛人を囲い込んだ。元関係者によると、誕生日パーティーを開催し、逮捕された面々や社債の顧客を招待して乱痴気な宴会を繰り広げていた。高級シャンパンやワインを自慢げに飲み、高級車を乗り回し、夜のお店で豪遊していた。さらに、オフィスに4000万円以上の現金を持ち込み、それを見せびらかしていたという。

中村容疑者を含む逮捕者らの原動力は、秋元容疑者、佐武容疑者を中心とした「色仕掛け」だったとされる。秋元容疑者は中村容疑者が外務員時代に出会い、当時から不倫関係にあった。佐武容疑者は、中村容疑者が通っていた夜のお店からスカウトしてきたとのことだ。彼女ら2人は中村容疑者の愛人であり、顧客の集金額競争を行っていた。2人で40億円超を集めたという。

グランシールド社によると、顧客に販売した社債額の2割が担当者に支払われていたという。秋元容疑者の顧客のひとりは、「最初は中村容疑者から彼女を紹介されましたが、おっとりした優しい感じの印象。ホームパーティーにも招かれました。友人のような雰囲気を作るのがうまく、『顧客とは一生の付き合いをしたい』とよく話していました」と語っている。一方、佐武容疑者は、性的な誘惑を用いた集金方法を行い、性の行為を撮影させた顧客もいたという。中村容疑者は、自身で獲得したほとんどの顧客の最終契約を秋元容疑者か佐武容疑者にまかせており、相性次第で2人に振り分けていたようだ。

元関係者によると、「配当支払いが滞るようになってからも、秋元さんと佐武さんは顧客と頻繁に会っていました。中村さんの指示で、顧客引き留めのため色仕掛けを行ったのか、疲れた顔でホテルから出てくる秋元さんの姿が何度か目撃されていました」という。中村容疑者は、「逮捕の恐怖からか、この1年で急速に老けた」と報じられている。