国連は25日、パレスチナ自治区ガザ地区ではあと数時間で燃料が枯渇するため、病院は緊急搬送しか受け入れていないと発表した。

また、国連が運営する施設は、家を追われたパレスチナ人60万人でいっぱいだと述べた。これは収容能力の4倍に当たるという。

ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが運営する同地区の保健当局は、2日連続で、イスラエルの空爆により700人以上が殺害されたと発表した。イスラエルは前日から攻撃を激化させている。

イスラエル軍は、ハマスの戦闘員や施設を標的にしているとしている。

イスラエルやイギリス、アメリカなどがテロ組織に指定しているハマスは10月7日、イスラエルとの境界を越えて前例のない襲撃を行い、少なくとも1400人を殺害。222人を人質としてガザ地区に連れ去ったとされる。こうした事態を受け、イスラエルはガザ地区への空爆を続けている。

イスラエルは、ガザ地区への燃料供給も妨害している。ハマスに横取りされ、軍事目的で使用されるためだとしている。また、ハマスが数十万リットルものディーゼル油を備蓄しながら、それを住民らに分けていないと非難している。

ガザ地区南部ハンユニスの主要病院に滞在しているBBCのラシュディ・アブ・アルーフ記者は、ガザ地区中の病院が25日、緊急治療室を除くすべての部門を閉鎖したと伝えた。

これは、人工呼吸器や新生児用保育器、腎臓透析装置といった救命機器に必要な燃料を節約するためだという。

ガザ最大のアル・シファ病院のモハメド・アブ・セルメヤ院長は、「病院は完全な壊滅状態にある」とAFP通信に述べた。

世界保健機関（WHO）のリチャード・ピーパーコーン医師は先に、国連が援助している病院は「命に関わる手術のためだけ最低限」しか発電機を稼働させていないとBBCに話していた。

イスラエルはハマスの攻撃を受け、ガザ地区への電力供給を停止した。10月11日には同地区唯一の発電所が燃料切れとなり、予備発電機に頼ることになった。

ガザ地区内の援助機関や医療関係者は、重要な設備が電気なしで停止すれば、さらに多くの人々が命を奪われることになると警告している。

ガザ地区で最大規模の人道支援を行っている国連パレスチナ難民救済事業機関（UNRWA）は、燃料の供給が増えなければ、25日夜にはガザ地区でのすべての活動を停止しなければならないとしている。

140万人が家を追われ、食料や清潔な水、避難所などの確保に苦慮する中、ガザ地区への人道支援を求める声が国際的にも高まっている。

先週末からは支援物資を載せたトラックが少なくとも計60台、エジプトからガザ地区へと入った。しかしガザ住民が必要とする量にはとうてい足りていない。支援団体らは、1日に少なくともトラック100台分の物資が必要だとしている。

ガザ地区では死者が急激に増えている。ガザ地区の保健当局は、この24時間で756人が殺されたと報告した。

これにより、イスラエルの空爆が始まってからの死者は6547人にのぼり、うち子供は2704人だという。

イスラエル国防軍（IDF）は25日朝、ガザ地区への「広範囲の爆撃」を継続すると発表。「テロ目的の縦穴トンネル、軍事司令部、武器倉庫、迫撃砲の発射装置、対戦車ミサイルの発射装置」などを含むハマスのインフラを標的としていると述べた。

IDFはまた、ハマスの緊急作戦組織を攻撃したと発表した。この組織は民間人が南へ向かう道路に障害物を置いて移動を妨害していたという。

IDFが地上作戦を計画し、ガザ地区北部の住民に安全のために南部への退避を勧告して以降、数十万人が移動している。

イスラエル軍は24日夜には、海からイスラエルに潜入しようとしたハマスのダイバーを攻撃したと発表した。
引用元：news.yahoo.co.jp（引用元へはこちらから）